キザ男「クリスマスなんてどうでもいい。今日は・・・」

2018.05.07.Mon.20:20
「え?」彼女は目を丸くした。
「昨日がイヴだから、今日はクリスマスでしょ?」
「違うよ」言い終わらないうちに僕は答えた。「キリストの誕生日なんて、僕にはどうでもいい」

「なにそれ」声が裏返り、目がヒクヒクと痙攣している。わかりやすい怒り方だった。
「じゃあ何であたしと一緒にいるのよ!どうでもいい日に呼ばないでくれる!?」
彼女の目は怒りから、軽蔑と悲しみに変わっていった。
「バカみたい。何でこんな男と――」目に涙を浮かべた彼女が踵を返し、駅の方へ向かおうとしたその時、いきなり僕は彼女を抱きしめた。

あたたかい。
コート越しの温もりを数秒間堪能したあと、彼女がサッと僕から離れた。
「何すんのよっ・・」
僕は柔らかな微笑みを絶やさぬまま、彼女に顔を近付けた。怒っていいのか、なにをしていいのか戸惑って目を泳がせている。
困惑の中で不思議と僕らは見つめ合う。

彼女の顔の筋肉が緩んできたので、僕は彼女の鼻の頭にちょこんと指を乗せた。
「今日は」はっきりと彼女の瞳を見つめた。




「君がいちばんきれいな日、だろ?」

メリークリスマス。

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